スペルミスで発覚、バングラデシュ中銀での不正送金被害 総裁は辞任

スペルミスで発覚、バングラデシュ中銀での不正送金被害 総裁は辞任

バングラデシュ中央銀行のアティウル・ラーマン総裁は、今回の不正送金被害を受け、15日ハシナ首相に辞表を提出し、受理された。

当事件は2月5日に発生したが、同総裁は1か月の間、当局に報告していなかったことが明らかになった。ラーマン総裁はムヒト財務相の指示を受け、辞任を決意したという。

銀行当局者によると、先月に発生した米ニューヨーク連邦準備銀行(FED)にあるバングラデシュ中央銀行の口座からのハッカーによる現金盗難は、送金先の名前のスペルが間違っていたことが被害の発覚につながった。送金がすべて行われていれば被害総額は10億ドル(約1,138億円)に上ったという。

それでもハッカーらは約8,000万ドルを盗むことに成功。これは、明るみになった銀行強盗の中でも最大規模の被害額となる。犯人は拘束されていない。

バングラデシュ中銀の当局者2人によると、ハッカーは中銀のシステムに不正侵入し、送金手続きに必要な認証情報を入手。その後、口座を管理する米ニューヨーク連銀に対し、フィリピンとスリランカの組織への送金依頼を30回以上行った。

このうち4回の送金が実施され、フィリピンに計約8,100万ドルが送られた。しかし5回目の依頼では、ハッカーが送金先であるスリランカの非政府組織(NGO)「シャリカ・ファンデーション」の名前のスペルを間違えたことから、経由銀行のドイツ銀行が不審に感じ、バングラデシュ中銀に照会。送金は中止されたという。

ハッカーは「ファンデーション」のスペルを、正しくは「foundation」であるところを「fandation」とつづっていた。

スリランカで登録されたNGOのリストには「シャリカ・ファンデーション」という組織は含まれていない。

また当局者によると、ニューヨーク連銀も、通常よりはるかに多い依頼回数や送金先が銀行ではなく民間組織だったことに疑いを抱き、バングラデシュ側に通知したという。

著名な経済学者・銀行家であると同時に、教授でもあるラーマン元総裁は、2009年5月1日に総裁に就任。以来バングラデシュ中央銀行の舵を取り続けてきた。ラーマン元総裁のリーダーシップの下、バングラデシュ中銀は低所得世層のための多数の信用制度の促進措置を講じてきた。また、銀行の各関連セクタに最新技術を搭載した決済システムの導入を行うなど、同氏が残した功績は非常に大きい。
一方で今回の事件発生後、国際通貨基金(IMF)のイベント出席のため、ニューデリーへの旅行費用を調達したことには批判が集中している。

バングラデシュ政府では現在、後任人事を進めている。

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